身近な危険もある昆虫 ハチ①
たくさんの場所でみかけ、人の生活圏にも生息しているハチ。
ハチと言っても全ての種類が刺すわけではありません。
また、ハチの針は産卵管が発達したものなのでオスは刺しません。
それでは今回はハチをご紹介します。
●ハチの分類
ハチは特徴により大まかにいくつかに分類されます。
一つ目は腰のくびれです。
・広腰亜目
腰にくびれがなく寸胴型の形態
・細腰亜目
腰がくびれている形態と腰のくびれから2つに分けられます。
細腰亜目はさらに2つに分けられます。
- 有錐類
産卵管が錐状
- 有剣類
産卵管が針になっている
とこのように分けられます。
それでは順を追ってご説明していきます。
●広腰亜目
広腰亜目の特徴はくびれがないことや植物に依存した生活を送ることなどが特徴としてあげられます。
また社会性を持った種もおらず、単独で生活を行います。
小型や中型の種類が多いです。
幼虫は葉を特定の葉を好んで食べる草食で、イモムシのような形をしています。
成虫は肉食ですが刺すことはありません。
刺す針を持ってきないのです。
中には刺すフリをするものもいますが実際には刺せません。
刺すハチに擬態した行動の一種です。
代表的な仲間はハバチやキバチの仲間です。
1ハバチの仲間
幼虫の食草になるような葉や茎に産卵します。
- ルリチュウレンジ
全身が光沢のある瑠璃色をしています。
幼虫の食草はツツジ類です。
1センチ前後の体長をしています。
2キバチの仲間
木や朽木、弱った木などの内部に産卵をします。
幼虫はその木の内部を食します。
●細腰亜目 有錐類
腰がくびれているハチの仲間で、主な種類が寄生バチたちです。
寄生バチとは生活史の中で寄生生活を行う時期があるハチたちです。
植物と動物それぞれに寄生するものがいて、植物の場合は植物の組織内に産卵を行います。
その場合虫コブと呼ばれる葉などにボコっとしたコブが見られることでも有名です。
動物の場合は卵や幼虫、成虫などに産卵を行い寄生します。
外部に寄生するものもいれば、内部に寄生するものもいます。
産卵管は錐状やノコギリのようになっています。
こちらも刺すことはありません。
小型から中型のハチ達です。
1コバチの仲間
ほとんどが数ミリととても小型のハチです。
動物、植物と種類により寄生するものが違います。
2コマユバチの仲間
主に昆虫の幼虫に寄生します。
蝶やカミキリ虫などの幼虫に産卵を行い、コマユバチの幼虫はその幼虫を食べて成長します。
3ヒメバチの仲間
主に蝶の幼虫に寄生をします。
蝶の幼虫に産み付けられた卵は孵化すると幼虫を食べて成長し、蝶の幼虫が蛹になると中を食べ尽くしてその殻から出てきます。
恐ろしい生態です。
●細腰亜目 有剣類
腰がくびれているハチのもう一つの分類の方でこちらのハチたち針を持っています。
名前からも有剣とあるのでなんとなく危なそうですよね。
俗にカリバチと呼ばれる獲物を捕らえるハチやハナバチたちがいます。
この中にも寄生を行うハチはいます。
小型から大型までのハチたちです。
代表的で知名度の高い仲間をいくつかご紹介します。
1セイボウの仲間
セイボウの仲間はとても綺麗なハチです。
別名飛ぶ宝石とも言われています。
光沢のある青や緑などの色をしています。
このハチも寄生バチの一種です。
他のカリバチの巣に入り込み、産卵を行います。
そしてその幼虫はそこで餌をもらい育ててもらいます。
成虫は花によく飛来してきます。
ほとんど刺しません。
- オオセイボウ
とても綺麗な光沢のある青や緑色の体色をしています。
スズバチなどの巣に産卵をし、幼虫は寄生生活をします。
成虫は花に飛来します。
2ハナバチの仲間
小型から中型で丸っこいハチです。
名前の通り成虫は花に飛来します。
花の蜜や花粉を集めます。
幼虫、成虫ともに蜜や花粉を餌としています。
攻撃性も低く、巣に手を出したり、掴んだりと刺激を与えなければあまり刺されることはありません。
また毒性もあまり強くありません。
- マルハナバチの仲間
小型から中型で丸っこく、毛深いイメージのハチです。
この毛深さは花粉を集めるときに役に立ちます。
黒い体色に黄色や白の模様があることが多いです。
女王蜂が産卵をする社会性昆虫で、ネズミや昔のハチの古巣などに営巣します。
よく知られる種としてはコマルハナバチ、クロマルハナバチ、外来種のセイヨウオオマルハナバチなどが挙げられます。
- クマバチ(キムネクマバチ)
中型から少し大型のハチで、黒の体色に黄色い胸部の毛が特徴です。
そのことからキムネクマバチとも呼ばれます。
ずんぐりとしていて毛深いイメージです。
大きい体の割には小さな羽を持っています。羽もうっすらと黒いです。
なんといっても目はクリっとしていて可愛らしいです。
飛ぶ音も大きく、低音でスズメバチが来たかと勘違いしてしまうことも多々あります。
幼虫、成虫ともに花粉や蜜を食べます。
その中でも特にフジを好んでいるようで、フジで見かけることは多いです。
クマバチのオスはメスを探すときに縄張りをホバリングしながら飛んでいます。
その際に近くに来たものをメスか確認するために追跡する習性があるので他の昆虫や鳥など動くものを追いかけます。
枯れた枝や家屋なのに営巣を行います。
クマバチは亜社会性昆虫で、まだ未熟な子供はすぐに独り立ちせずに巣に残って親から餌を分けてもらいます。
その大きい羽音や見た目から危ないイメージがあるハチですが性格は温厚で、刺激しなければ刺されることはあまりありません。
- ミツバチ
比較的小型で胸部に毛が生えた、黄色やオレンジと黒い模様をしています。
食性は幼虫、成虫ともに花粉や蜜です。
その中でも女王になる可能性のある幼虫にはローヤルゼリーを、働きバチの幼虫には花粉や蜜と分けられています。
ミツバチはコロニーで生活する社会性昆虫でも知られていて、軒下や木のうろなどに営巣を行います。
ミツバチの働きバチはメスで構成されています。
オスは女王バチと交尾をすると死んでしまいます。
ミツバチダンスを聞いたことがあるでしょうか。
このミツバチダンスは蜜のある場所、方向、どんな蜜かを仲間に伝えているのです。
ミツバチの巣はまれにオオスズメバチに襲われることがあります。
体も大きく力も強いこのオオスズメバチにミツバチは勝つことさえあります。
ミツバチたちはオオスズメバチの周りに密集して集まり羽を羽ばたかせて温度を上げて抵抗するのです。
この攻撃を受けるとオオスズメバチも蒸されてしまい死んでしまいます。
数と工夫で生き残る術を身につけているのですね。
ミツバチは刺すこともあります。
そして1度刺してしまうと死んでしまいます。
攻撃性はあまり高くないので巣を脅かしたり、刺激をしなければ刺されることはそう多くありません。
日本ではセイヨウミツバチとニホンミツバチの2種が良く知られています。
セイヨウミツバチは外来種、ニホンミツバチは在来種になります。
セイヨウミツバチはオレンジっぽく、ニホンミツバチは黒っぽいイメージの色をしています。
虫網があればハチを捕まえることもできますよ。
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●オススメの本
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●最後に
今回は刺さないハチとハナバチをご紹介していきました。
次回は他の種をご紹介していきます。
オオセイボウ綺麗ですよね。